好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
テーブルに突っ伏してため息をついたとき、かわいらしい声が聞こえて顔を上げる。
目の前に差し出されたのはクッキーだった。
「微妙に余った生地をクッキーにしたんだ。これもどうぞ」
「……ありがとうございます」
「胡桃ちゃんね、作ってるときにすごくいい表情してたの。きっと食べてもらう人のこと考えてたんだよね」
にこっと微笑んでくれた姫野里奈先輩に、曖昧な笑顔で返す。
先輩はカップケーキだけでなくクッキーまで作ったというのに、わたしはカップケーキすらまともに作れない。
励まそうとしてくれたのかもしれないけど、自分のできなさを強く実感させられた。
……まぁ、これからなんでも作れる料理上手な家庭的なわたしになるんだけどね!
「ありがとうございます!姫野先輩は料理上手ですね。尊敬します!」
「そんなことないけど、かわいい胡桃ちゃんに褒められたらうれしい。私も教えるし一緒にがんばろうね」
「はいっ」
落ち込んでばかりはよくない。
かわいい女の子ってやっぱりいつも笑顔で前向きでひたむきだからかわいいんだもんね。