好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
狭い路地を抜けると、開けた場所。
花火もよく見えて人はちらほらいるだけの穴場スポット。
幸せそうに片寄せあう影がいくつかある。
廉は後方の大きな木があるところまで来ると、やっと足を止めた。
「……胡桃」
「……笑ってよ」
「…………」
「惨めで情けないわたしを笑って」
いつもみたいにばかにしてよ。
笑い飛ばしてよ。
強い言葉でわたしを怒らせてよ。
「ふたりが両想いってことはわかってた。でも、入る隙はあると思ってたんだよ?ダサいよね」
超ダサい。
わかってたけど、正直いけると思ってたところもある。
だって、あんなにがんばってたんだもん。
できる努力はしてきたんだもん。
まだ、努力が足りなかったかな?
「ダサくねぇよ」
「っ……」
「胡桃は全然ダサくねぇ」
廉の言葉に、温かいものが頬を伝う。