好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「付き合ったって、一生じゃない。いつかわたしに向くかもしれない……って、思ってるんだよっ……」

「そう」

「あんなふたり見たばっかでも、そんなこと考えちゃう。わたしだって、わたしのほうが……っ」

「もういいいよ」



廉の手が腰に回り強く引き寄せられる。

そのままわたしを包み込むように抱き締めてくれた。


廉の腕は強くて温かくて、優しさにあふれている。



「泣けよ。無理した笑顔なんて似合ってねぇ」



そのせいで、我慢していたのに涙腺はすぐに崩壊して、嗚咽をもらしながら泣いた。




夜空に花が咲くよりも、恋の終わりってあっけなく一瞬で散ってしまう。


付き合うことがゴールじゃない。

そう思っていても、いまはただただ悲しくて切ないから、泣いてもいいよね。



泣いて気持ちを晴らしたっていいよね。




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