好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
……いつから、気づいていたんだろう。
足が痛いこと。
もしかしたら、休憩したときも、わたしのためだったのかも。
……なんて。
廉におんぶされて気持ちが落ち着く。
廉の背中、こんなにおっきかったっけ?
「……いっくん、浴衣だったよ」
「……それがどうした」
「……廉は、なんで着ないの?」
「…………こうなるからだよ」
こんなに近くにいるのに、花火のせいか、廉がなんて言ったのかわからなかった。
だけど、聞き返すこともしない。
「……廉がいてくれてよかったよ」
首元に顔を埋める。
わたしひとりだと、きっとどうにもできなかった。
泣くこともできず、呆然として、いっくん目の前に笑顔を作ることしかできなかったと思う。
廉の首に回した手にぎゅっと力を込める。