好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
それを当たり前のように思ってる。
胡桃の努力にも気づかないで薄っぺらい言葉だけを簡単に口にする。
樹は胡桃のことをまったくわかってない。
そのことも、そんな樹のことが好きな胡桃もむかつく。
樹を無視して、ペットボトルを冷蔵庫に戻す。
ここにいたらイライラしすぎておかしくなりそうだから、リビングを出ようとドアに向かった。
「廉も早く素直になりなよ」
「は?」
思わず振り返って樹を見る。
ソファに座っていつもと同じような笑顔をしている樹。
「僕も彼女できたしさ」
さっきできたばっかのやつがもう余裕こいてんなよ。
彼女自慢とかそんな話聞く気にもならねぇ。
再び樹から視線を逸らした。
「僕は、廉とくるちゃんが付き合ってくれたらうれしいよ」
けど、次の樹の言葉にいままで我慢していたものがいっきに崩れた。