好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「……なに言ってんだよ」


怒りが沸々と込み上げてくる。

ソファに座っている樹の目の前まで行き見下ろす。



「それ、お前が言うわけ?」

「僕は本気で思ってるんだよ」



真剣な表情で俺を見る樹。

なおさら、本気で言うなよ。



「廉は昔からずっとくるちゃんのこと好きでしょ?」

「だからなんだよ」

「廉なら、くるちゃんのことを幸せにできると思う。もう少し優しくできたほうがいいけどね」



なにひとりで話を進めてんだよ。

意味わかんねぇ。




「僕も彼女つくったし、廉も早くくるちゃんと幸せに……」

「ふざけんな!」



樹の言葉を遮る。

普段大きな声なんて出さないけど、怒りのまま自然と出た。


樹は一瞬驚いたような表情をしたけどすぐにまたいつもの余裕な面に戻る。




「父さんと母さん、もう寝てるから起こさないように」



知るか。

そんなこと考えてられっかよ。




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