好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「僕は、廉じゃないと納得しないから」
ニコッと爽やかなうさん臭い笑顔を浮かべる。
お前が言うな。
胡桃に好かれてて、胡桃のこと好きなくせに弟の俺に遠慮して諦めるようなお前が。
「うるせぇ」
そんなの俺がいちばん思ってんだよ。
俺は樹でも納得しねぇよ。
胡桃の隣は、俺しかありえねんだよ。
樹の肩をドンと押して、にやけ面から距離をとる。
そのままもう視線も向けずにリビングを出た。
自室に入ると、隣の家の部屋の明かりがついているのが見える。
俺の部屋の窓を開ければそこは胡桃の部屋。
……大丈夫か。
そう思うよりも先に、窓を開けて向かいの窓に手を伸ばしていた。
「……なに」
不機嫌な声を出しながら窓を開けてくれた胡桃。
風呂上がりなのか、ゆるい部屋着で長めの髪はストレートになっている。
肌出しすぎ。