好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「……これからどうすんの?」
「……なにが?」
「……樹のこと」
空気悪いついでに聞いてやった。
内心、バクバクしている。
聞きたくないけど、気になる。
明らかに樹の名前に動揺して、肩が少し上がった。
それにむっとするけど、顔に出さないようにする。
「どう、もしないよ……」
震える声でそう言うと視線を逸らす。
また泣きそうに目を細めて、樹のために傷つく。
俺がいなかったら、胡桃はいまごろ幸せに笑ってた。
俺が胡桃のことを好きにならなかったら、胡桃は傷つくことなく笑ってた。
……心臓が痛い。
「…………ごめん」
「、え?」
「仕方ないからやけ食い、付き合うぞ」
「太らせる気?」
「たまにはいいだろ」
「………来る?」
「行く」
あ、やべ。
胡桃の誘いがうれしくて、即答しちまった。