好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「入って。お父さんとお母さん寝てるから静かにね」
「あぁ」
返事をしてからサンダルを脱いで、胡桃の部屋に行く。
胡桃の部屋は高校生になってから初めて入る。
あんまり変わってなくて、女子って感じだけどシンプルに統一されてる部屋。
白のシンプルなローテーブルの上には、落ちそうなくらいのお菓子とジュースとコップふたつが置かれている。
……俺が来るってわかってたみたいな準備。
「夜なんだから、すぐにドア開けんなよ」
「いいじゃん。廉ってわかってるんだもん」
「違ったらどうすんだよ」
「わたしにはわかるの」
うわ、ずりぃ。
胡桃はほんと、ずりぃことする。
いちいちあざといんだよ。
そのせいで、ほかの男もホイホイ引っかかってくるんだよ。