好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
だから、そうゆう態度やめろって言ってんのに、胡桃は聞く耳もたねぇ。
もうそこらへんは俺が諦めつつあるけど。
小さく息をもらして腰を下ろす。
「とりあえず乾杯しよ」
「胡桃の失恋に?」
「怒るよ?」
オレンジジュースを注ぎながら俺を睨んだ胡桃。
手元見ろよ。
って、ツッコむとまたうるさく言い返してきそうだから、思うだけで黙っておく。
器用に手元を見ずにコップに入れると、俺の前に置く。
「オレンジジュース」
「廉好きでしょ?」
「あぁ」
「知ってるもん」
……それわざとか?
計算か?
それなら天才すぎんだろ。
あざとすぎだろ。
胡桃が好きなのはいちごみるく。
オレンジジュースは俺。
俺が来ると決まってから準備する時間はなかった。