好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
たぶん、ため込んでたんだろうな。
俺にもあんまり話さなかったし。
「たしかに美人だし、料理上手いし、立ち振る舞いもなんだか上品で女性らしいけどさ」
「そうなん?」
「そうだよー。廉にはわかんないの?」
「興味ねぇ」
「うわ、ひど。廉には彼女できないよ」
なんでそんだけで、そう言われんだよ。
興味ねぇもんはねぇんだよ。
「彼女いらねぇし」
「え?それでも健全なる男子高校生?」
「意味わかんねぇこと言うなよ」
デコピンすると胡桃は涙目になりながらでこを押さえる。
そのまま涙目で俺を見つめる。
……失敗した。
こんな顔で見られるなら、デコピンなんてするんじゃなかった。
と、すぐに後悔する。
涙目はやばい。
それに、いま胡桃の部屋でふたりきりだし。
健全なる男子高校生なら、こんなシチュエーション我慢できねぇだろ。