好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



たぶん、ため込んでたんだろうな。

俺にもあんまり話さなかったし。



「たしかに美人だし、料理上手いし、立ち振る舞いもなんだか上品で女性らしいけどさ」

「そうなん?」

「そうだよー。廉にはわかんないの?」

「興味ねぇ」

「うわ、ひど。廉には彼女できないよ」



なんでそんだけで、そう言われんだよ。

興味ねぇもんはねぇんだよ。



「彼女いらねぇし」

「え?それでも健全なる男子高校生?」

「意味わかんねぇこと言うなよ」



デコピンすると胡桃は涙目になりながらでこを押さえる。

そのまま涙目で俺を見つめる。


……失敗した。

こんな顔で見られるなら、デコピンなんてするんじゃなかった。


と、すぐに後悔する。

涙目はやばい。


それに、いま胡桃の部屋でふたりきりだし。

健全なる男子高校生なら、こんなシチュエーション我慢できねぇだろ。




< 155 / 347 >

この作品をシェア

pagetop