好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
握られた手に力が込められた。
廉がすごく怒ってるみたいで、理由がわからず戸惑う。
「廉、そんな無理やり……」
「うるせぇ。ひとりで行け。胡桃に近づくな」
様子がおかしい廉をなだめようとするいっくんを強く睨む廉。
どうしたの……?
「胡桃」
「廉……わっ、」
繋いだ手を強く引かれて、廉にぶつかる。
そのまま手は離されたかわりに、廉の手がわたしの肩に回った。
「行くぞ」
有無を言わせずに歩き出す。
いっくんが気にはなったけど、それ以上に廉の様子が気になった。
「廉、どうしたの?」
「…………」
「廉っ」
少し歩いたところで、立ち止まる。
おかしいよ。
なんかいつもと違う。
「廉、どうしたの?いっくんとなにかあった?」
廉の顔を覗き込めば、奥歯を噛みしめて不機嫌そうな顔。
廉が我慢しているときの癖。