好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「……べつに、なんでもねぇよ」
「なんでもないのにそんな長いケンカする?」
「してるんだからしてんだよ」
「そっか」
言い合いはよくあるけど。
というか廉が一方的にいっくんに対して文句言ってる感じだけど。
でも、廉が継続的にいっくんに敵意向けたり、なにか言ったりすることはなかった。
廉にとってよっぽどのことがあったのかもしれない。
言いたくないならわたしも深く聞かないでおこう。
「文化祭楽しみだね」
「べつに」
「ダンス緊張する」
「上手いよ、タコダンス」
「タコダンスじゃないし!」
失礼しちゃうわ。
前よりだいぶ上手く踊れるようになったよ。
夏休み中いっぱい練習したもん。
「見ててよ」
「胡桃の必死な顔を見とくよ」
「たしかに必死だけどさ!」
もっと余裕もって踊れたらいいとは思ってるけど、ついていくのだけで精いっぱい。