好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「かわいいね〜!」
こうして褒めてくれるのは素直にうれしい。
やっぱりがんばったからには褒めてもらいたいもんね。
「町田もいいじゃん」
「ほんと。いい感じだね」
「まじ?やったぜ」
「でも、この髪はこっちに流したほうがいいかも」
言いながら町田くんに手を伸ばす。
分け目的に自然になると思うな。
そんくらいの気持ちだったわたしの手は横から伸びてきた手につかまれる。
「俺は?」
「へ?」
「どう?」
「んー、廉はこっちに流して、耳かけたら?」
「やって」
少しかがんでわたしに目線を合わせる。
廉の顔が目の前にある。
わたしが思うように、指で廉の髪に触れて整える。
「おっけ」
「さんきゅ」
廉がほんの少しだけ微笑んで、わたしから離れる。
「ふたりの世界に入っちゃって……て、折原いいね。雰囲気変わる」