好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


「月島ってほんとかわいいよな。オレまじでうれしい。この際、名前で呼んで……」

「凛太郎」

「……なんでもないです。忘れてください」


町田くんが話している途中で、廉が名前を読んでカッターシャツの首を後ろから掴んだ。

首、締まってない?

大丈夫?


と、町田くんに手を伸ばすもその手は一歩前に出た廉に当たる。



「廉、乱暴はよくないと思うよ」


町田くんや周りに生徒がいるため、優しめの口調で言う。

だけど、廉はわたしを見下ろしてなにも言わない。


圧がある……。



「ばかだねぇ」

「冗談じゃん。さすがに手は出せねぇよ」

「本気だったよ」

「まじやられるかと思った。あとで癒して」

「自業自得だし」



かほちんと町田くんが話していたけど、まったく耳に入ってこない。

廉と見つめあうこと数秒。



「……行くぞ」

「あ、うん。まずは」

「飲み物、欲しいんだろ」

「うん」


さすが廉はわたしのことをわかっている。



< 175 / 347 >

この作品をシェア

pagetop