好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「月島ってほんとかわいいよな。オレまじでうれしい。この際、名前で呼んで……」
「凛太郎」
「……なんでもないです。忘れてください」
町田くんが話している途中で、廉が名前を読んでカッターシャツの首を後ろから掴んだ。
首、締まってない?
大丈夫?
と、町田くんに手を伸ばすもその手は一歩前に出た廉に当たる。
「廉、乱暴はよくないと思うよ」
町田くんや周りに生徒がいるため、優しめの口調で言う。
だけど、廉はわたしを見下ろしてなにも言わない。
圧がある……。
「ばかだねぇ」
「冗談じゃん。さすがに手は出せねぇよ」
「本気だったよ」
「まじやられるかと思った。あとで癒して」
「自業自得だし」
かほちんと町田くんが話していたけど、まったく耳に入ってこない。
廉と見つめあうこと数秒。
「……行くぞ」
「あ、うん。まずは」
「飲み物、欲しいんだろ」
「うん」
さすが廉はわたしのことをわかっている。