好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


自分から言ってきたのにそれって……。

覚えていなかったわたしもわたしだけど。


廉に言われるまで自分が実行委員ということすら忘れてたよ。



「ゴミ袋の確認だっけ?」

「通るときに見てたけど、いっぱいにはなってなかった」

「え、廉見てたの?」

「いちいち確認しにいくほうがだるいだろ」

「ふーん」


廉はなんだかんだ真面目に委員の仕事をしてたんだね。

わたしは忘れてたけどね。


……あれ?



「じゃあ、何でわたしを連れてきたの?町田くんとサッカー部?の先輩は……」

「なぁ、疲れた。休憩しよ」


わたしの言葉を遮った廉。

意味がわからない。


やっぱりわたしは廉の考えていることがいつもわからないんだ。


廉はわかってくれてるけど、わたしはわからないことばかり。



「なんか買ってくる」

「廉?」

「ここから動くなよ」

「え、ちょっと」

「あと、顔上げんな」

「はい?」


出店が並んだ場所から少し離れた木の下。

有無を言わせずに行ってしまった廉は本当に強引だ。



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