好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「行くぞ」


頭上から降ってきた言葉と同時に、強引に腕を引っ張られて無理やり歩かされる。

けど、足に根っこがついたみたいに動かなかったから、正直いまは助かった。

ブランコだけの公園に入り、並んでひとつずつのブランコに座る。



「あー腹減った」

「……これ食べなよ」


いちおう廉にはさっきので借りがある。

そうわたしは思ったから、持っていた紙袋を差し出した。


廉はすんなりそれを受け取る。




「これだけもらうわ」


そう言って取り出したのは、わたしの失敗作。

カップケーキになれなかったものたち。


もったいないからかき集めてカップに入れて、わたしが食べようと思っていたもの。


一緒に入れてたの忘れてた。



「なんで?ほかのおいしそうなの食べなよ」


返された紙袋をもう一度差し出す。



「逆になんで?」

「なんでって……だから、ほかのがおいしそうでしょ?」



質問で返されると思っていなかった。

普通に考えて、見た目がいいほうがいいじゃん。
そんな残骸よりさ。




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