好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
さっきも絡まれてたんだろ。
なんかダンスをしたせいで胡桃が密かに話題になってるらしい。
かわいいって、そんくらい知ってんだよ。
でも、そんな簡単に言えるようなもんじゃねぇんだよ。
まじで胡桃はレベルが違うから。
他のやつらが勝手に噂することも気に食わない。
「……ひとりにしてよ」
「ぜってぇ無理」
「なんでよ」
「無理なもんは無理だろ」
「わたしの気持ちも考えてよ」
「知るか」
俺の言葉にむっとしたのか、勢いよく顔を上げる胡桃。
キッと睨まれるけど、その顔さえ……ってやっぱり俺やばい。
むしろいままでよく我慢してきたなって思う。
俺を睨んでいたかと思えば、顔をパっと逸らされる。
あ、照れてる。
なんて喜ぶ俺はおかしいのか。
暴走して、胡桃の気持ちをおかまいなしにめちゃくちゃにしようとしたのに、こんな反応はずるいな。