好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「おはよう、廉。高校もサッカー部入ったんだよね?目指せレギュラー!ってことで走って行きなよ」
訳:わたしといっくんのふたりきりの登校を邪魔しないでよ。
「俺は毎朝走ってるから心配いらねぇよ。応援さんきゅーな」
にこっと似合わない爽やかな笑顔をつくる。
空気読んでよ!!
あとまず「おはよう」でしょ!
イライラしていることに気づいていないのか、廉はいっくんにお弁当を渡した流れでわたしといっくんの間に入ってくる。
廉って昔から空気が読めない。
いっくんの弟で、わたしと同い年の廉。
優しいいっくんとは対照的にいじわるでわたしはよくからかわれていた。
いや、いじめられていた。
顔は兄弟だけあっていっくんに似ている。
顔だけは無駄にいいから、昔から幼なじみってだけで廉を好きな女子から目の敵にされていた。
高校生になってからふわっとしたおしゃれなマッシュにして、両耳にリングピアスなんかもつけちゃって、かっこつけている。
まぁ、外見だけかっこよくしても、いっくんには敵わないけどね。