好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
胡桃が見えるよう適度な距離を開けて後ろを歩く。
友達と楽しそうに話している胡桃。
そんな胡桃に熱っぽい視線を向けるやつら。
「チッ」
まじでうざい。
そんな目で見てんなよ。
胡桃を見てるのは俺だけでいいのに。
「れーんっ!」
「離れろ」
「親友に対して冷たいなぁ」
「親友じゃねぇし」
「それはひどい!悲しい!」
教室に入ってすぐにうるさいやつに手を回される。
それを乱暴に振り払った。
振り返りうるさいやつ、凛太郎を見れば口角を上げて笑っている。
その顔が無性にむかつき、デコピンをした。
「いってぇよ。廉ってデコピンへたくそだからけっこう痛いんだぞ!」
「へたくそだから痛くないだろ」
「当たり所が悪いんだよ!普通ならくるはずのインパクトのタイミングがいっつもずれてんの!」
なんでそんな細かく分析してんだよ。
「どうせあれだろ?月島に冷たくされてるから機嫌悪いんだろ」