好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
……殴っていいか?
「おい、やめろって」
無意識に握っていたらしい拳を凛太郎につかまれる。
凛太郎につかまれているのは気分よくないから、すぐに手を抜き拳を緩めた。
「ここ最近、一緒に教室入って来ねぇもんな」
「お前のほうが後から来るだろ」
「たまにオレのが早いし」
んなことはどうでもいい。
大きくため息がもれた。
「で、なにしたわけ?」
なんで樹と同じ日に聞いてくるんだよ。
タイミング最悪。
「オレね、思うんだよ。ついに我慢の限界超えたんじゃねぇかって」
ニヤニヤしている凛太郎をなにも言わずに睨む。
3秒後、ニヤけた顔は消えて目を見開く。
「……まじ?」
それに対してもなにも言わない。
凛太郎から視線を外して自席に行こうと足を動かす。
「待て待て待て」
でもすぐに凛太郎が俺の肩をつかんで止めた。
ポケットに手を突っ込み、顔だけ凛太郎に向け睨む。