好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「今日は体育祭の種目決めをするから体育委員前に出て進めて」
担任の言葉に、凛太郎が前に出る。
こいつ体育委員だったのか。
あともうひとり、女のほうは胡桃の友達だった。
「競技の説明をします」
凛太郎が真面目に仕切ってるのがおもしろいな。
その間に胡桃の友達がホワイトボードに競技名を書いていく。
文化祭が終わったと思えばすぐに体育祭モードで、学校って忙しい。
凛太郎の説明を特に聞かずに、胡桃を見る。
胡桃は真剣に説明を聞いていた。
それだけでむかっとする自分がやばい自覚はあるけど、一生治りそうにない。
「リレーは体力測定の50メートルが速かったメンバーで。オレと廉と……」
記録を見ながら名前を読み上げていく凛太郎に視線を向けるとすぐに気づいて、歯を見せて笑った。
なんでそんな反応早いんだよ。
そんで、いまの笑顔はいらねぇし。