好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「リレーメンバーは以上です。これは確定で。リレーメンバーはあと2つ、入ってないメンバーはあと3つ、希望の競技に名前を書いてください」
ざわつきだす教室。
席を立ってそそくさと書きに行く人や、集まってあれだこれだと話し合ってるやつら。
俺はその間を通ってホワイトボードの前に行く。
「廉のあとふたつは、騎馬戦と綱引きな」
「なんで勝手に決めてんだよ」
「だってこれは人数いるから」
まぁべつにどうでもいいけど。
凛太郎が勝手に俺の名前をホワイトボードに書くの確認し、胡桃を見た。
ホワイトボードに名前を書こうと手を伸ばしている胡桃。
そこにひとりの影。
「つ、月島さんも、その、障害物競争出るの?」
「うん。足遅くてほかに出れるのないから」
「僕も!じゃ、じゃあさ……」
「胡桃」
メガネの男と向かい合った状態の胡桃を呼ぶ。
だけど、俺のほうは向かずに視線を落とした。