好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
その反応さ、意識してるって俺に言ってるようなもんなんだよ。
「なにに出んの?」
「……玉入れと大縄と障害物競争、だよ」
「ふぅん」
俺と目を合わせない胡桃だけど、素直に答えてくれた。
周りに人がいるからってのもあるんだろうな。
「あ、あの、月島さん……」
この男はまだ胡桃に話しかけんのか。
俺がいるにも関わらず話しかけ続けるなんていい度胸だな。
「もし決まってなかったら、ペアになろ」
……は?
ペアってなんだ?
「いいよ。のんびりがんばろうね」
「は、はい!」
またメガネに笑顔を向けるせいで、メガネが頬を赤らめる。
むかつくけど、それ以上に引っかかることがある。
「なんのペア?」
胡桃の肩に手を置き、少し俺のほうへ引く。
バランスを一瞬崩すも断固として俺を見ずに立て直して、またホワイトボードに向かう。
「なぁ」
「これだよ」
「は?」
「障害物競走。男女ふたりペアじゃないと出れないの」
「……聞いてねぇんだけど」