好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
教卓に腕をついて、ホワイトボードに書かれていく名前を見ている凛太郎。
またもや俺の視線にすぐに気づき、目が合った。
俺から視線をずらし、胡桃とメガネ、ホワイトボードを見て理解したのかニヤッと笑う。
「廉は障害物競争に出れないよ」
「は?なんでだよ」
「だってもう3つ決まってる」
「じゃあこいつと変わる。ほかなに出んの?」
「え、えっと、綱引きと大縄と障害物競争……」
「わかった。じゃあ俺の騎馬戦と障害物競争、変えよう」
「えぇ!?む、無理だよ……そんな僕が騎馬戦だなんて、土台にもなれない……」
「あ?」
「おい廉、怒んなよ」
凛太郎が一歩踏み出した俺の前に手を出して制する。
怒んなって、その前に。
「お前が勝手に決めたんだろ」
「でも、そん時に文句言わなかっただろ」
「事情が変わったんだよ」
「廉が出ねぇと無理だって」
「関係ねぇよ」
「クラス一丸になってがんばらないといけないのに、関係ねぇことはねぇよ」