好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



だけど込みあがってきたものは、おさえることができず温かいものと一緒にこぼれる。


いまごろ、いっくんは姫野先輩の作った綺麗な形のすごくおいしいカップケーキを食べているんだろうな。

わたしには見せないような笑顔を向けて、ふたりで楽しく過ごしているのかもしれない。




「っ……う……」


あふれて止まらなくなる。

くるしいな。

廉が隣にいるからすぐにブレザーの袖で拭うけど、なかなか止まってくれない。



「泣くなよ。めんどくさい」


そんなのわたしがいちばん思ってる。

廉に言われると余計にむかつく。


「……っ……ヒック……」



でも、止まらないものは止まらないんだよ。

顔を隠して、落ち着かせようと呼吸を整える。




「はぁ……」



大きなわざとらしいため息が聞こえたと思えば、手をとられて顔から外される。

涙でぐちゃぐちゃになっているであろう顔を廉に見られてしまった。


最悪。


すぐにそう思い、手で再び隠そうとするもの掴んだまま離してくれない。





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