好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
凛太郎がうるさいけど、そんなことにかまっている暇はない。
二人三脚とかありえねぇだろ。
胡桃がほかの男と並ぶのも無理。
ぜったいに阻止する。
「ない。走るの無理」
「走れよ」
「嫌だよ」
「走れって」
「嫌って言ってるじゃん。足遅いの知ってるくせに!廉のばか!!」
「ばかでいいから走れ」
「知らない。鈴木くん、一緒にやろ」
「う、うん………あ、」
「廉はほっといていいから」
メガネが気まずそうに顔を逸らす。
腹立って横目で見る俺に対して、胡桃は軽くにらんで自分の席に戻った。
久しぶりに俺を見たと思えば、にらまれるってどうなんだ。
俺のほうが怒りたい。
むかつく。
胡桃をめちゃくちゃにして、他の男にいけないようにしたいくらい、むしゃくしゃしている。
そんな気持ちのまま、競技決めは終わった。
今日の体育からさっそく体育祭の練習が入ってくる。