好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「廉、つぎリレーの走順決めるぞ」
「…………」
「おい、まだ根に持ってんのかよ」
「……お前のことまじで許さないから」
「仕方ねぇだろ。勝つためなんだから」
知るかよ。
体育祭なんてどうでもいい。
そんな勝敗よりも、胡桃が他の男と少しでも並ぶのが許せねんだよ。
「まぁ、障害物競走の練習は前日に1回だけだし、本番と合わせて計2回だからさ」
「あ?」
「もう、許して……ごめんって」
「……はぁ、」
急に弱々しくなる凛太郎にため息をついた。
想像するだけでイライラする。
胡桃に合わせられるやつなんて俺以外にいるわけねぇんだから。
むかむかは収まらないまま、体育祭前日。
凛太郎が言った通り、この日まで障害物競走の練習はなかった。
点数も少ないし、練習がなくてもいけるように作られた競技だからだろう。
足が遅いやつが参加する競技って言ってたけど、そんなやつらが組んだところでなにができんだよ。