好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「あ、月島!?」
後ろに凛太郎の驚きの声を聞く。
そのときにはすでに飛び出していて、胡桃との距離のほうが近かった。
「つ、月島さん、ごめん……」
「っ……大丈夫、だよ。転んでごめ……」
「胡桃」
名前を呼んで素早く足に巻かれているバンドを外す。
その間も他クラスは進んでいく。
「廉!?なんで……」
「いくぞ」
「ひゃっ」
まだしりもちをついている胡桃の膝の裏と肩に手を回す。
そのまま抱きかかえて持ち上げた。
「お、折原くん」
「やっぱりほかのやつは無理だわ」
「え?」
「どうした!?」
「ケガしたんで、保健室連れて行きます」
「ケガ?わかった。保健室に連れて行って。あと、きみはとりあえずひとりで行って、2走にバンド渡して」
駆け寄ってきた先生にも承諾を得たし、胡桃を抱えて保健室に向かって歩く。
「れ、廉。大丈夫だから下ろして」
「なわけあるか。捻挫した」
「膝すりむいただけだよ」
「気づかないわけねぇだろ、あほ」