好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
保健室の長椅子に胡桃を下ろす。
そこで見えた胡桃の顔は、笑顔だった。
貼り付けたような、おもしろくない顔。
「……足見せろ」
「いいよ。自分でする」
「できねぇだろ」
「できないけど……」
「いいから」
俺の言葉に、しぶしぶ靴下を脱いで足を見せた。
腫れてるな。
ほんと転ぶだけでここまで腫れるとか、さすが胡桃だわ。
どんくさすぎ。
胡桃のきれいな足に触れて足を見てから、窓際にある冷凍庫を開けて氷を冷凍庫の上に置いていた氷のうに入れる。
「慣れてるね」
「部活のが足りなくてたまに借りに来るから。はい」
氷のうを持って行き、胡桃の足に置く。
そのときに冷たさのせいか小さく声を出す胡桃が素直にかわいかった。
「廉、ごめんね」
「べつに」
「最近も、変な態度とってごめん」
「うん」
「わたし、なんかもうぐちゃぐちゃで……」
「もう黙れよ」