好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
◇胸のモヤモヤの理由
「がんばれー!」
「いけるよ!!」
「最後まで最後まで!」
天候に恵まれ、無事に体育祭が行われている。
わたしもテントの中で応援をする。
昨日、障害物競走をしたときに転んで足をひねってしまった。
軽い捻挫だけど、出る予定だった大縄と障害物競争はほかの子に代わってもらうことになった。
玉入れはそこまで足に負担はないから参加する。
だけど、もう終わってしまったから、あとは応援に専念。
「あたし、そろそろ行くね」
「うん。がんばってね!かほちんのこと、いちばんおっきい声で応援するから」
「それはがんばらなきゃ」
かほちんが気合いを入れて拳を作ってから、その手を緩めて振った。
わたしも手を振り返して、かほちんを見送る。
かほちんはいまから午前の部最後のリレー予選に出る。
運動神経よくて足も速いんだ。
ほんとにかっこいい、わたしの自慢の友達。
かほちんの後ろ姿を見ていると、さっきまでかほちんが座っていた席に人が来る。
それは廉で、思わずドキッとしてしまった。