好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
廉とは文化祭のあのときから、少し気まずい。
意味わかんないことばっかり言うし、いきなりキスしたり、抱き締めたりしてくるし……。
冗談にしてはひどすぎると思ったけど、あまりにも廉がくるしそうだったから怒ることもできなかった。
わたしの知らない廉は嫌だ。
いじわるばかりする廉はきらいだけど、大切な幼なじみだから。
いちばん長く一緒にいて、いちばん近くで見てきて、廉のことで知らないことなんてないはずなのに……。
廉の考えていることがわからない。
それがなんだか、すごくモヤモヤする。
モヤモヤしすぎて、廉の近くにいるとなんだかくるしい。
目も合わせることはできないし、話も上手にできない。
距離をおこうと、前よりも意識して廉から離れようとした。
だけど、廉は空気が読めないからわたしに普通に声をかけてくる。
むしろ前より、わたしに近づいてきている気さえする。
わたしが引いた分、廉が詰めてくるんだ。