好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



わたしの行動が、廉のせいで変わったのはいつからだっけ……。



「あとそれ、似合ってねぇよ」

「っ、」

「じゃあな」


今日もつけていた、いっくんからもらったヘアクリップに廉が触れる。

廉のためじゃないし。

冷たいセリフのあと、むすっとしてるわたしの首にかけられたタオルは廉が首にかけていたもの。


……あったかくなってる。

廉の温もりがうつったタオルを首にかけられるなんて熱いよ。


今日はいい天気で太陽もガンガンなのに。



入場門に向かってけだるげに歩く廉の背中を見つめる。

なんだか胸がぎゅっとなって、廉のタオルを握りしめた。


ふわっと鼻孔をくすぐる廉の香りはほんのり甘かった。



気がつけば午前の部、最後のリレーが始まっている。

前を見れば、ちょうどかほちんがバトンを受け取ったときだった。

タイミングばっちり。


ぐちゃぐちゃもモヤモヤも、吹き飛ばそうと声を出す。



「かほちん、がんばれー!!」


前を通ったかほちんに声援を送ると、余裕のピースをくれた。

はぁ、かほちんかっこいい。




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