好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



ほら、廉はそういうところが子どもなんだよ。

すぐ怒ったように不機嫌になる。



「廉も大人になりなよ」

「まだ高校生だし」

「わかってるよ」

「胡桃はガキじゃん」

「ガキって……だから廉はガキなんだよ」

「うっせぇ」


あ、なんか調子戻って来たかも。

わたしたちはこうなんだよ。


いつだって、こんな距離感でやってきた。


「おこちゃま廉ちゃん」

「調子乗んな」

「きゃっ」

「行くぞ」

「下ろしてぇ~!」

「やだよ」


やっぱり廉はいじわるだ。

わたしを担いでクラスのテントまで連れていかれた。


恥ずかしすぎて、顔を上げられなくて、廉の体操服をぎゅっと掴むことしかできなかった。



テントに着くとすぐにわたしを下ろして、廉はさっさと入場門に行ってしまった。

ため息をついてから、椅子に座る。


そういえば、廉にタオル返すの忘れてた。

午前の応援中に椅子にかけていたタオルを再び首にかけて前を結ぶ。


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