好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



王様みたいにどんと構えている廉は、こんな場面でも変わらない。

いつも堂々としている廉が、わたしはうらやましかった。


だから、わたしもそうなりたいと思った。


小さい頃から廉はいじわるばかりで、わたしはずっと泣かされていたけど、自信たっぷりで堂々としている廉に影響されていたのは事実。


わたしもそんなふうに、自信もって常に最高の自分を。

かわいくなるために努力は惜しまない。


わたしはそうやって、いっくんに好きになってもらおうとがんばってきた。


そんな努力も意味なかったけど。

いっくんはわたしのこと、好きになってくれなかったけど。



「廉はやっぱりかっこいいな」


ハチマキをどんどん取っていく廉を見ていると、隣でいっくんが呟く。

視線は廉のまま「いっくんもかっこいいよ」と返した。



「ううん。僕は廉には敵わないんだよ」


廉が大将のハチマキを取り、あっという間に騎馬戦は終了。

早すぎる戦いだった。

< 235 / 347 >

この作品をシェア

pagetop