好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
王様みたいにどんと構えている廉は、こんな場面でも変わらない。
いつも堂々としている廉が、わたしはうらやましかった。
だから、わたしもそうなりたいと思った。
小さい頃から廉はいじわるばかりで、わたしはずっと泣かされていたけど、自信たっぷりで堂々としている廉に影響されていたのは事実。
わたしもそんなふうに、自信もって常に最高の自分を。
かわいくなるために努力は惜しまない。
わたしはそうやって、いっくんに好きになってもらおうとがんばってきた。
そんな努力も意味なかったけど。
いっくんはわたしのこと、好きになってくれなかったけど。
「廉はやっぱりかっこいいな」
ハチマキをどんどん取っていく廉を見ていると、隣でいっくんが呟く。
視線は廉のまま「いっくんもかっこいいよ」と返した。
「ううん。僕は廉には敵わないんだよ」
廉が大将のハチマキを取り、あっという間に騎馬戦は終了。
早すぎる戦いだった。