好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
学校だからさすがに恥ずかしい。
周りの目が気になる。
廉は文化祭後から他学年にも顔が知られて人気だし。
昨日のお姫様抱っこも相当目立ったもん。
これ以上は目立ちたくない。
「了解」
機嫌がいいのか弾んだ声。
廉がすんなりわたしの前にしゃがみ込む。
廉が下で土台になって支えるなんて想像できないって言ったけど、それはわたし以外の人だね。
廉はいつもわたしをこうして支えてくれる。
ねぇ、わたしいまけっこう、ドキドキしてるよ。
こんなの慣れてるはずだったのにね。
「……騎馬戦、かっこよかったよ」
「……当たり前だろ」
「自分で言う。リレーもがんばってね。……いちばん、応援してる」
「……おう」
わたしの気持ちがぐちゃぐちゃだったのは廉のせいだ。
でも、それを直したのも廉だ。
わたしを振り回した責任とってよね。
廉の首元に顔を埋める。
すごく、あつかった。