好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
みんながグランドの中央に集まる中、わたしはテントに残る。
閉会式はこの場から参加でいいっていう先生からの配慮。
わたしはそれに甘えさせてもらっている。
すべての競技の講評が行われるのをなんとなく聞く。
「ぼけっとしてんな」
「え?」
頭を軽くコツンとされて、ハッとして顔を上げた。
そこにはなぜか廉がいてわたしの隣の椅子に座る。
いま、閉会式だからクラスのところに行かなきゃじゃないの?
「俺、超がんばったから、しんどいってことでこっちで参加にしてもらった」
「ただのサボりじゃん」
廉のことだから、あれだけ走ったあとでも本当にしんどいわけではない。
顔見たらわかるもん。
たしかに疲れはあるだろうけど、グランドでみんなと一緒に体育座りで閉会式に出れないほどじゃないと思う。
「一応参加はしてるから、サボりではない」
「あぁ、そうですか」