好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
さっきも思ったけど、廉ってこんなにかっこよかった?
漆黒の瞳はいつだってわたしをとらえると離さない。
だけど、いま目を逸らせないのはきっと……。
「胡桃」
――わたしが逸らしたくないから。
廉の瞳に映りたいって思っているから。
「今日、一緒に帰ろう」
廉の瞳には、わたしがどんなふうに映ってる?
「ふたりで、帰ろう」
廉はどんな気持ちで、誘ってくれてるの?
廉にドキドキするなんて変なの。
ぜったい変だよ。
ずっとおかしかったもん。
わたしも、廉も。
目は逸らさないまま、コクリと頷く。
廉と帰る約束をして帰るなんて初めてだ。
たまに一緒になるとかならあったけど、こうして廉が誘って約束するなんて……。
「よっしゃ」
廉がくしゃっと笑うから、思わず首に巻いていたタオルを廉の頭にかける。
「おいっ」
「か、返すの忘れてたから…っ」