好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



タオルをぐっと引っ張るわたしのせいで、顔を上げられない廉。

もがいている廉がタオルの隙間から見えた。


耳が赤いのはどうして?


……なんて、ちょっとだけ、都合よく解釈していいかな。


廉がわたしを、って。


もしそうなら少しくらい考えてあげてもいいかなって思うよ。



「離せって」

「わ、」

「……顔赤っ」


タオルを取られて、廉と至近距離で目が合う。

笑い交じりに言われてしまって恥ずかしくなる。



「……廉もだよ」


そんな廉だって、耳だけでなく顔が赤かったけど。

ふっと笑えば、廉はあからさまに嫌そうな顔をしてきた。


あ、デコピンされる。


いつもの流れで廉の行動を予測し、先におでこを両手で押さえた。



「残念だったな」


だけど、わたしの予想は外れ、ほっぺを両手でつままれた。

そのまま横に伸ばされる。



「うぅ……」

「俺の勝ち」


読み負けしたことが悔しい。

廉ってほんと、わたしの行動も考えも読んでくる。



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