好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
なんだかモヤモヤして、つかんでいる廉の腕に力を込めた。
それに気づいた廉はわたしに視線を向ける。
目が合うと、なぜか微笑んでくれた。
廉が優しい。
そんな顔をするなんて、本当に廉は優しくだってできるのかもしれない。
「最後のリレーかっこよかった。樹くんより速いんだね」
いっくんのことも知ってる。
本当にだれ……?
「いとこ」
「え?」
「あいつだろ?親父の弟の娘、いとこ」
「い、とこ……」
わたしが気になってるのがわかったのか、廉が教えてくれた。
なるほど。
いとこだから、廉と親し気に話すしいっくんのことも知ってるんだ。
納得できたけど、まだ浮かんだモヤモヤは消えない。
「廉くん、その人は?」
ついに廉のいとこがわたしへと視線を向けた。
その笑顔が黒いのはきっと気のせいじゃない。
「月島胡桃です。廉といっくんの幼なじみで、廉と同い年です。お名前聞いてもいいですか?」