好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
変わってるなぁ。
と思うけど、口にも表情にも出さずに笑顔のままペコっと小さく会釈だけした。
「かわいい」
「かわいいな」
「もう行くぞ。あの……」
「なに騒いでるの?あ、くるちゃん」
「いっくん!」
2年生の男子の後ろからいっくんが現れる。
思ってもみなかった登場に、驚きとうれしさでテンションがいっきに上がった。
「え、樹の知り合い?」
「うん。僕の幼なじみ」
「まじか!超かわいいじゃん。いいな」
「いいでしょ?僕の幼なじみは超かわいいの」
いっくんのセリフにいっきに顔が熱くなる。
友達にそう言ってくれるとか照れちゃう。
これが幼なじみじゃない紹介をしてもらえるようになれたら……。
「紹介しろよ」
「大切な幼なじみだからだめ」
「ずりぃじゃん。姫いるだろ」
「そ、それは……違うじゃんか」
「照れんなよ」
「うるさい」
………は?
なにこの空気。
いやなんだけど。
なんでいっくんはからかわれて照れてるの?
その相手はわたしじゃないの?