好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



意味わかんない。

どうしてここにいない人のことを……。



「姫は樹だしなぁ。俺は幼なじみちゃんを」

「名前はなんていうのー?」


いっくんの友達に声をかけられても、反応することができない。

いっくんと姫野先輩って周りから見てもそんな関係なの?


でも、付き合ってないんだよね?


じゃあどうして……。



「ねぇねぇ」


わたしへと伸ばされた手がゆっくりと近づく。

それに気づいたと同時に、ガタンっという音とともに伸びてきた手は間に入ってきた黒い影で見えなくなる。


不思議に思って顔を上げると黒い影の正体は廉だった。



「廉?」

「席なかった。ここ座る」

「あ、うんいいけど……」


突然の登場に驚いたこともあり素直に受け入れる。

廉はわたしに手を伸ばしたいっくんの友達へ視線を向けた。

その人はなぜか苦笑いして、いっくんの隣に行き肩を叩いた。



「戻ろうぜ」

「あ、うん。じゃあね、くるちゃん。廉は部活で」


わたしはいっくんに手を振るけど、廉は相変わらず無反応でラーメンをすすり始めた。



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