好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「廉くん、ほんとイケメンだね。前からかっこよかったけど、さらにかっこよくなって」
「胡桃はなんも言ってくれないけど」
「まぁ、胡桃もほんとはドキドキしてるに決まってるわ。こんなにかっこいいんだもん」
「お母さん!」
お母さんのセリフに我慢できずツッコむ。
廉に夢中でわたしに気づいていなかったのか、驚いたように目を見開いてからにっこりと微笑んだ。
「もう、廉くんが来るなら言ってよね。なにも準備してないじゃん」
「廉、わたしの部屋に行こ」
「お母さんも廉くんとお話したい~!久しぶりだもの。ご飯食べて行ってね」
「コンビニ行くから」
「くみちゃんの料理おいしいから食べる」
「まぁ、うれしい。気合い入れて作るね」
わたしの声を遮って廉が返事をする。
お母さんは廉の言葉にうれしそう。
あぁ、もう……。
「髪、乾かさせて」
「え、いいよ自分でする」
「やりたい」
手に持っていたドライヤーを廉が取る。
そして、準備をしてわたしを呼ぶ。