好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「いただきます」
みんなで手を合わせて食べ始める。
「どうかしら?」
「おいしい」
「よかったわぁ」
お母さんうれしそう。
廉もパクパク食べてる。
それを見てるとむっとしてきた。
「わたしも作る」
「あ、えっと、一緒に練習しようね?」
「うまくなってからにしろ」
「ふたりともひどくない!?」
たしかにまだ上手に作れないけど。
なんで失敗するかわかんないし。
お母さんは上手なのに、どうしてわたしは上手く作れないのかな。
「くみちゃんは上手なのになんで胡桃は下手なんだ?」
「めっちゃストレートに言うじゃん。でも、悔しいことに同じこと思ってた」
ほんと廉に言われるのは心外だけど。
「お母さんも初めから上手に作れたわけじゃないわよ」
「そうなの?」
「うん。お父さんにおいしいって言ってもらいたくて、たくさん練習したの」
頬に手をあてて、昔を懐かしんでいる様子のお母さん。
お母さんもそうなんだ。