好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「胡桃の部屋、行きたい」


食器を片づけひと段落ついたとき、廉が少し声のトーンを落としてそう言った。

ドキッと心臓が音を立てる。


さっきまでお母さんがいてにぎやかだったけど、急にふたりきり。


少し静かになった空気は、廉のことをすごく意識させる。

誘ったのはわたしだけど。



「……うん」


平静を装い頷くと、すぐにわたしをお姫様抱っこする。


廉ってけっこう力持ちだ。


捻挫してからよくこうして抱えられるけど、全然慣れない。




「歩けるよ」

「そう」


んん~~~!!

反応が薄い。


下ろしてって意味なのに伝わんない。



「もう、我慢できなかった」

「え?」



器用にわたしの部屋のドアを開けながら、廉がつぶやく。

そのまま部屋に入り、わたしをベッドに下ろした。



「単刀直入に聞く」

「…………」

「胡桃、どうして俺を誘ったの?」

「…………」



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