好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

まとまってない感情をひとつひとつ音にのせていく。

廉は驚くほど優しくわたしを見つめて頷いてくれる。



「わたしの知らない廉がいるのはいやなんだよ」

「うん」

「廉のことがわからないのが、くるしく思うんだよ」

「うん」



これは、幼なじみだから？

幼なじみに対する気持ちなのかな。


いっくんへ恋心を抱いていたけど、いっくんへの気持ちが過去に変わったんだよ。


自分でも気づかない間に、いっくんへの好きでいっぱいだった心が、廉にすり替わってたんだよ。




「廉がいちばんに、わたしのそばにいてくんなきゃいやだよ」

「うん」

「ずっとだよ。いとこでもいやだよ」

「ただのいとこだろ」

「いとこって結婚できるんだよ。知らないの？」

「知んねぇよ。したいと思ったことないから興味ない」



廉はいつだって嘘がない、まっすぐな言葉。

それでもモヤモヤしてしまうわたしは、どうかしてるのかな。