好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

……息が詰まる。

呼吸の仕方を忘れるほどの衝撃。



え、廉は……。



「嘘……」

「じゃねぇよ。もう気づいてんだろ？」

「いや、その……えっと……うん」



考えてから頷く。

廉の好きな人。

ここまで言われて、気づかないわけがない。


廉はわたしのことが……。



「赤すぎ」

「だって……」

「なぁ、素直になれって」



そう言う廉だって気づいてるんじゃん。

そうだよ。


きっとあってるよ。


わたしも最後に、この答えにいきついたよ。




「言葉にして言えよ」

「うぅ……っ」

「引いてやんない」


これは、廉が求める答えを言うまで終わらない。

漆黒の瞳が求めている。


わたしだってもう限界は超えた。

廉を、求めている。




「廉が好き」




あふれるように、言葉が出た。




「……だと思う」


だけど、すぐに恥ずかしくなってあいまいに誤魔化す。



「それは余計」


わたしに手を伸ばした廉が優しく頬を撫でた。

恥ずかしくて無意識に逸らしていた視線を廉に戻す。