好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

わたしから言うんじゃなくて、廉に言ってほしい。

廉から聞きたい。

わがままって思われても、廉からがいい。



「胡桃、俺と付き合って」

「っ、言うんだ…ね」

「胡桃が望むなら」

「廉がいじわるじゃない」

「言っただろ。胡桃が望むなら優しくできるって」


本当なんだね。

その場限りじゃなくて継続してくれるんだね。



「ほんとは胡桃のこと、めちゃめちゃに甘やかしてやりたい」



う、あぅ……ずるい。

こんな廉はずるいよ。



「それで、返事は？」

「うん、もちろん。付き合う。彼女になる」

「ふ、かわい」



わたしの頬を両手で挟むと、そのままちゅっと触れた唇。

一瞬だったけど、それは体温を上げるには十分すぎた。



「赤すぎだって」

「廉のせいだよ……」

「うん、かわいい」


なんでそんな急に、サラッと言えるの。

いつも無反応だったのに。


『かわいい』なんて言ってくれたことなかったのに。