好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
わたしがどれだけ努力しても、一度も言ってくれなかった。
むしろ反対のことばかり言われてた。
「ほんとに?」
「なにが?」
「ほんとに、かわいいって思ってる?」
「うん」
素直に頷いた廉が立ち上がり、わたしの隣に座る。
ベッドが音を立てて少し下がった。
廉のほうを向けば、廉もわたしを見つめている。
「ほんとに?」
「うん」
「前は言ってくれなかった」
「ずっと思ってる。でも、俺以外のためにかわいくなろうとする胡桃はかわいくない」
「どういう意味?」
「そのまんまの意味」
えっと、つまり、廉のためじゃないといやだってこと?
「ゆるく巻いたツインテールより下ろしてるストレート派?」
「べつにそういうのない。どっちも好き。でも、樹のためにしてたツインテールは嫌い」
「浴衣は?」
「樹に見てもらおうとして着てたから、似合ってたけどかわいくない」
「……ひねくれてるね」
「いま、素直に答えてんだろ」