好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
視線を外して照れたように言う奈子ちゃんはすごくかわいい。
わたしに似てると思ってたけど、ここまでわたしは好きな人の好きな人に優しくできない。
だから、そんな奈子ちゃんがうらやましくて、まぶしかった。
それと同時にうれしかった。
連絡先を交換すると、うれしそうに笑った奈子ちゃんは本当にかわいい。
「メイクも教えてね、胡桃ちゃん」
「っ、うん!」
「完全に負けてるのにライバルって言ってくれてうれしかった」
そう言えるのは奈子ちゃんの強さだ。
わたしは往生際悪く、認めたくなかった。
そこは違うね。
「廉くん、奈子が胡桃ちゃんをとっちゃうかもね」
「は?」
「ばいばい」
手を振って、奈子ちゃんは停まっていた車に乗り込んだ。
振り向く瞬間に見えた奈子ちゃんの瞳には、太陽の光に反射してキラッと光るものがあった。
……いつから想っていたかはわからない。